令和の浦島二郎

注:

※今回のブログは寓話です

※感じ方には個人差があります

浦島七郎は浦島三郎という名で生まれたが、いつの間にかそう呼ばれる年頃になっていた。

白髪が少しずつ増え、減ったのは体力よりも時間への耐性だった。

ある夜、海沿いを歩いていると、眩しいほどの金髪の女が立っていた。

乙姫と名乗り、理由も告げずに「少しだけ」と言って手を引いた。

気がつくと、そこは竜宮城だった。

昼か夜かは曖昧で、音楽はずっと鳴っており、時間は溶けていた。

乙姫の金髪は常に完璧で、何度見ても同じ位置で揺れていた。

浦島四郎はそこで過ごした。

何日か、何年か、あるいはほんの一瞬だったかもしれない。

白髪は増えなかった。

やがて乙姫は言った。

「そろそろ戻った方がいい」

玉手箱を渡され、「開けるかどうかは自由」とだけ告げられた。

戻った先は、元いた場所ではなかった。

空気は濁り、看板は光り、知らない言語が耳に刺さった。

そこは歌舞伎町だった。

浦島五郎は、しばらく立ち尽くし、考えた末に玉手箱を開けた。

白い煙が立ちのぼり、次の瞬間、視界が反転した。

あっという間に、また竜宮城に戻っていた。

乙姫は同じ場所に立ち、同じ金髪で、同じ表情をしていた。

金髪は常に完璧で、何度見ても同じ位置で揺れていた。

音楽は止まらず、時間は何事もなかったように流れ続けていた。

浦島六郎はそこで過ごした。