令和の浦島二郎
1月 4, 2026
注:
※今回のブログは寓話です
※感じ方には個人差があります
浦島七郎は浦島三郎という名で生まれたが、いつの間にかそう呼ばれる年頃になっていた。
白髪が少しずつ増え、減ったのは体力よりも時間への耐性だった。
ある夜、海沿いを歩いていると、眩しいほどの金髪の女が立っていた。
乙姫と名乗り、理由も告げずに「少しだけ」と言って手を引いた。
気がつくと、そこは竜宮城だった。
昼か夜かは曖昧で、音楽はずっと鳴っており、時間は溶けていた。
乙姫の金髪は常に完璧で、何度見ても同じ位置で揺れていた。
浦島四郎はそこで過ごした。
何日か、何年か、あるいはほんの一瞬だったかもしれない。
白髪は増えなかった。
やがて乙姫は言った。
「そろそろ戻った方がいい」
玉手箱を渡され、「開けるかどうかは自由」とだけ告げられた。
戻った先は、元いた場所ではなかった。
空気は濁り、看板は光り、知らない言語が耳に刺さった。
そこは歌舞伎町だった。
浦島五郎は、しばらく立ち尽くし、考えた末に玉手箱を開けた。
白い煙が立ちのぼり、次の瞬間、視界が反転した。
あっという間に、また竜宮城に戻っていた。
乙姫は同じ場所に立ち、同じ金髪で、同じ表情をしていた。
金髪は常に完璧で、何度見ても同じ位置で揺れていた。
音楽は止まらず、時間は何事もなかったように流れ続けていた。
浦島六郎はそこで過ごした。